Netflixオリジナル リミテッド・シリーズ 『アンビリーバブル たった1つの真実』

まさに信じられないし、信じれってゆー方が無理というアンビリーバブル極まりない事件があったんですね。

実際に起きた卑劣なレイプ事件を元にした犯罪ミステリーです。

しかしながら、レイプ被害を扱った実話っつーことで、よくある犯罪捜査モノとはテンションが違うのだ。
事件解決してハッピーエンドみたいな単純な話じゃない。

レイプがもたらすダメージってね、コリャ大変な事態なんですわ。

レイプという暴力が起こった後、被害者にはもっと残酷な仕打ちが待っているのだ。。。

社会がそれを許すというか、社会自体が攻撃をしかけてくるのだ。
しかも、それが正義だと信じているので本当に厄介というね。

レイプが精神を殺人し、その後の人生を奪い去って、被害者はおぞましい思い出の中で何度もレイプされるという地獄。

そんなわけで、本作は生半可な気持ちで楽しめる犯罪ミステリーじゃなかったです。

レイプされたと訴えても周囲が信じてくれなかったがために、心の奥に葬ろうと苦しみつづける少女の3年間。
事件の3年後に同様の手口のレイプ事件が各地で発生していることを突き止めた二人の女性FBI捜査官たちの活躍を同時並行で描く。

レイプをなかったことにさせられた少女が気の毒すぎ。
家族も友達も、もちろん警察も彼女を信じない。
信じられないのだ。

被害者の過去の言動や生い立ちによる先入観によって、事件をなかったことにしようとする社会。
アンビリーバブルを決め込んでくるため、少女もそんな社会に対してアンビリーバブルになっちゃうという絶望が辛い。

彼女の心の動きを繊細に、懇切丁寧に追っているので、その痛みや孤独にもう胸が張り裂けそうな思いなのだ。

でも、本作はそりゃーよく出来たエンタメなわけです。
基本エンタメとして作られているので、わずかな証拠を地道に積み重ね、様々なアイデア、視点から犯人を特定していくミステリーとしての醍醐味も抜かりない。

FBI捜査官を演じる二人の女優も見事な凸凹キャラの役割分担で、バディ物としても完成度が高い。

少女の事件と3年後の事件がある瞬間に繋がる後半。
少女の話と二人の捜査官の話がつながる瞬間でもあった。
そのカタルシスってとんでもなく大きい。

スゲー良く練られている話だと驚かされて、あまりに高度な脚本に唸りまくった。

最終話は本当に素晴らしかった。

ある意味、3年間犯され続けた少女。
そんな彼女が人生を狂わせた事件に対して、積極的に行動を起こし、しっかりとケジメをつける。
その姿は圧倒的に心強かった。

自分のために立ち上がってくれた存在を知り、彼女はもはや人に対してアンビリーバブルじゃなくなる。

それって犯人逮捕や事件解決なんかよりもずっと意味がある。

一度は失った明日への希望や自尊心、信じられる心。
あらゆる憎しみや哀しみなんかを上回って、彼女は勝利するのだ。

本気で感動した。

『アンビリーバブル たった1つの真実』
とんでもなく面白かった。

本当にマジメに作ってて、きっちりと訴えるものがありながら、エンタメとしてもすこぶる面白い。
大傑作。

すぐ観るべき。

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